2014年11月20日 都城市立東小学校

11月20日、都城市立東小学校2年生で紙芝居授業を行いました。
授業の様子を他学年や他校の先生方も見学され、授業後には先生方へ向けた講習ならびに意見交換会も行いました。
意見交換会には、講師の馬場先生をはじめ東小学校の教職員、近隣の小学校ならびに保育園の教員のみなさんが参加。
馬場先生から紙芝居の特徴や実際に授業を実施する際の留意点などについて講義が行われたほか、授業の感想や質問など、出席者間で意見交換がされました。

●馬場先生から伝えたいこと

  • 授業に使う資料には流行り廃りがあります。その中で、紙芝居は昔から続いている数少ない資料のひとつです。
  • この紙芝居は、道徳の授業だけでなく、特別活動の授業でも活用することができます。
  • 低学年向きの作品と思われがちだが、内容を作りこんでいるので、高学年でも十分に活用できる作品になっています。
  • 紙芝居を読む際に大切なのは、『舞台』を作ること。舞台があると画面がぶれず、絵が隠れない。用意するのが大変ならば、テーブルに布をかけて舞台っぽくしたり、譜面台に載せたりするのでも構いません。また、左目で紙芝居、右目で子どもを見て(反応を見て)授業をするのが理想です。
  • 今回はフラッシュカードを使用していますが、それがすべてではなく、テーマに近い言葉が出たらその言葉を板書するのでも構いません。むしろ、子どもたちの言葉を使ったほうが、より近くに感じてもらえると思います。

●学校の先生方が聞きたいこと

Q.低・中学年と高学年において、どう発問を変えていけばいいですか。
A.低・中学年は「助け合い」で分かりやすく展開できると思います。高学年の「役割や責任」については、例えば学校や家庭での自分の役割を聞く。みんながどんな気持ちで自分の役割を行っていたか、といったことを引き出すといいでしょう。

Q.最後の説話で話すことは決めているのですか。
A.各学年の指導テーマに合わせていくつかバリエーションを持っています。私は今回、震災に絡めた話をしましたが、高学年の授業では、役割分担として、演奏会の話をよくします。(注今回は2年生で授業)もちろん、授業が延びてしまったら説話はなくても仕方ないでしょう。

●学校の先生方が感じたこと

  • 放課後児童クラブ(小学校併設の保育園で)でも読み聞かせの作品として活用できると感じた。
  • 小学校での授業風景を見たことで、保育園ではこうやろうとアイデアが浮かんだ。
  • 学年が異なれば、印象に残る場面が違うというのは想像できたが、同じ学年でもクラス(個人)が違えば考えが違うんだということが実感できた。
  • 一人ひとりの子どもが思っていることを丁寧に聞き取り、やり取りをすることが大切だということを再認識した。
  • 普段は、紙芝居を聞いていると飽きてくる子どもでも最後まで集中して聞いていたのに驚いた。
  • 紙芝居は自分たちも子どもに戻ったような懐かしい気持ちになる。子どもたちも見たことがないくらい集中していた。
  • 途中で楽器を使うことで、臨場感をより感じ、子どもたちをひきつける要因になっていると感じた。
  • 道徳は資料をしっかり心に刻むことが大切だと思うので、そういう意味では紙芝居はいいのかも。待ち遠しくて待つ、という間合いも素晴らしい。
  • 紙芝居を印象付けするのには音を使うのが効果的だと感じた。
  • 1年生の時はお世話してもらう立場だった2年生が、お世話をする立場になったばかり。自分たちの生活とちょうど重なっていて、実感(=追体験)するのにとてもよかった。
  • 言葉と生活がかい離する学年もあるが、紙芝居を活用することで、そのかい離が少なくなることがあるんだと感じた。
  • 高学年には幼い印象の絵だが、内容をきちんと読むと活用しがいがあるものだと感じられた。道徳授業の資料選択は見た目の印象でなく内容を読んで選択することが必要だと改めて実感。高学年向きの資料は話が長く、内容を理解するまで(導入)に時間がかかってしまう場合があるが、そういう意味では紙芝居はとても有効であると感じた。子どもたちに出会わせる第一印象の大切さを痛感した。
  • 紙芝居には一枚一枚に物語が凝縮されていて、ほかの資料の挿絵とは違う。子どもの印象に残りやすいのだと実感した。しかもこの作品は、自分の生活場面にふり返させることがスムーズにできる内容。普段の道徳の授業も紙芝居にしてみたらどうなるだろう、やってみたいと感じた。
  • 子どもはそれぞれ反応が全く違う。発する言葉、印象に残るポイント。それを個別に引き出せることが素晴らしかった。今回の授業を参考に、自分の授業に生かしていきたい。

意見交換会は終始和やかな雰囲気に包まれていました。途中、馬場先生が、過去に資料作りに凝りすぎたあまり、指導案作りが間に合わなくなって大変だったんです、と失敗談を披露され、笑いが起きる場面もありました。同じ教員同士、共有する話題も多いのですね。
お忙しいところ意見交換の場を設けて下さった東小学校の先生方、また、お集まりいただいたみなさま、本当にありがとうございました。